カウンセリングをしていると多いのが「抜歯が必要かどうか」といった質問です。抜歯・非抜歯は患者さまにとって大きな問題ですが、美しい歯並びに導く上でも重要です。
当院の基本方針は、できるだけ歯を抜かない矯正治療です。歯を抜かずに済む治療方法を探りながら治療計画を立てていきます。とはいえ、すべてが非抜歯とは限らず、場合によっては抜歯が必要なこともあります。抜く・抜かないは、あくまでも手段にしかすぎません。
矯正治療の目的は機能性・審美性を高め、お口の中の環境を健康な状態に保つことです。
当院では精密検査の結果を総合的に判断し、抜歯・非抜歯のどちらにメリットがあるのか見当した上で、治療計画を立てています。なお抜歯が必要な場合でも歯を薄く削るスライシングやMEAW矯正(ミョーまたはミャウ矯正)で、非抜歯になる場合があります。
まずは、患者さまの歯の状態を調べた上で判断しますので、お気軽にご相談ください。
<当院が考える矯正治療>
MEAWとは特殊な形状をしたワイヤーで、“Multiloop edgewise arch wire”の頭文字を取って“ミョー”あるいは“ミャウ”と読みます。
治療は、装置とゴムの力を利用して開口や反対咬合を改善します。口を閉じたときにできる隙間を閉じるために、上下の歯に小さなゴム(顎間ゴム)をかけ、ワイヤーの効果を充分に発揮させます。
最大のメリットは非抜歯矯正が可能になること。主に軽度の開口や反対咬合の治療に用いられ、高い治療効果をあげています。また顎関節機能にも考慮した治療法です。
【MEAW矯正について】
※主に切端咬合や軽度の反対咬合、開咬などの治療で用います。
程度によりますが上記の症状を歯を抜かないで治療することができるのがメリットです。親知らずだけは抜歯した方が効率的です。
上下の歯並びの間で小さなゴム(顎間ゴム)をかけることでワイヤーの効果が充分に発揮します。ワイヤーを装着したのにゴムを使用しないと目的とする効果が得られないばかりか逆に症状が悪化するので注意が必要です。
使用時間は食事、歯磨きの時以外は装着することをお話しておりますが、この顎間ゴムの使用がとても重要です。
下の写真はいずれもMEAW(マルチループワイヤー)で治療しました。MEAWを使用すると診断によっては歯を抜かないで噛み合わせを改善できることがあります。下の4症例はいずれも歯を抜かないで治療を行いました。
≪開咬の矯正治療1≫
前歯で噛めない開咬をMEAWを用いて矯正治療しました。顎間ゴムを必要な時期に毎日欠かさず使用していただいたので、MEAWを使用して6ヶ月で前歯が噛むようになりました。
≪反対咬合の矯正治療1≫
左写真:治療前、右側が前歯から奥歯まで反対咬合です。上下の真ん中も一致していません。
右写真:治療終了時、反対咬合歯改善し、上下の真ん中も改善しています。
≪切端咬合の矯正治療2≫
左写真:治療前、上下前歯がぶつかる前歯が切端咬合で、上下の真ん中も一致していません。
右写真:治療終了時、噛み合わせが改善し、上下の真ん中も改善しています。
抜歯をするほどではないけれど、歯の移動するスペースが少し不足しているとき、歯の表面を少しだけ削り、移動スペースを確保します。
この方法はIPR(Interproximal enamel reduction)といい、歯と歯が隣接するそれぞれの面を0.5mm以内で削って隙間を作り、何ヶ所かつくったその隙間を利用して歯をきれいに並べます。これにより、成人の非抜歯矯正が可能になりました。
しかし、このような手段を利用しても歯並びや噛み合わせを改善できない場合は、抜歯をして矯正治療を行うようにお勧めしております。
矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について