このように下の歯が上の歯より前に出ている噛み合わせを「反対咬合(はんたいこうごう)」といいます。一般的に「受け口」ともいわれています。原因には遺伝的な要素と後天的なものがあり、上唇を噛む、舌を突き出す、低位舌といった生活習慣や癖の影響が指摘されています。
受け口の方は食べ物がよく噛めず、聞き取りにくい話し方になります。また顎が前に突き出ているため顔がしゃくれた感じになり、引っ込み思案になる方は少なくありません。原因が遺伝的か後天的なものかによって治療法は異なります。
《 矯正治療Q&A 》
矯正治療の抜歯について-① なぜ抜歯をしなければならない場合があるのですか?
矯正治療の抜歯について-② 出っ歯を治すにはどうすればよいですか?
矯正治療の抜歯について-③ 抜歯した場合としない場合ではどう違うのですか?
矯正治療の抜歯について-④ 抜歯をしないでも済むのはどのような場合ですか?
部分矯正治療について
《 症例一覧 》
切端咬合(せったんこうごう)、受け口(反対咬合)、手術を併用した外科矯正治療について
手術を先行した術前矯正治療なしの外科矯正治療例1 27歳 女性
手術を先行した術前矯正治療なしの外科矯正治療例2 19歳 男性
手術を先行した術前矯正治療なしの外科矯正治療例3 46歳 女性
幼児期の受け口の早期矯正治療
子供の前歯数本の反対咬合治療
受け口気味、上下口元の突出、前歯がでこぼこ、上下裏側の矯正治療 21歳 女性
写真①のように上下の前歯がぶつかり合っている噛み合わせを切端咬合(せったんこうごう)といいます。
写真(1):前歯が切端咬合、下の前歯の真ん中が左にズレていますが治療後は改善しています。
写真(1)の噛み合わせより下の前歯が前に傾いたり、下顎の前方への成長が大きくなると受け口(反対咬合:はんたいこうごう 写真(2))になります。
受け口の程度は小さく、上下の真ん中のズレはあるものの顔の歪みの程度は少ない状態です。このような場合は歯を抜かずに矯正して改善できる確率が高くなります。
写真(2):右の前歯から奥にかけて反対咬合、下の前歯の真ん中が右にズレていますが、治療後は改善しています。
《手術を併用した外科矯正治療》
通常、外科矯正治療では手術前に期間に差はあるもののおよそ1年間矯正治療を行います。これは手術時に上下の歯が噛み合うようにするために術前矯正を行います。ただし術前矯正を行うと手術直前には治療前に比べて反対の噛み合わせの程度が強くなります。
受け口を治したいのに受け口の程度が強くなるという矛盾が生じるため、これが耐えられないとおっしゃる患者さまは少なくありません。そのため当院では治療開始前に検査を行い術前矯正なしで外科矯正治療を行えると判断した場合は先に手術を行い、術後に矯正治療を行う方法をとっております。
悩みである受け口が早期に改善できることが特徴です。しかし、すべての症例で適用できるわけではないので検査での判断が必要です。
受け口の治療を希望され来院。
術前の横顔は受け口、正面では下顎が左に曲がっています。口の中の写真も下顎が前に出た状態で、下顎の真ん中が左にずれています。
患者さまはとにかく早くに受け口を治したいとのことで先に手術を行う方法を希望されていました。
矯正治療のための精密検査を行い、また口腔外科の先生とのディスカッションの末、先に手術を行い術後に矯正治療で噛み合わせを改善することが可能と判断しました。
左:手術前、右:手術後1ヶ月半
受け口および下の左へのズレが改善しています。術後矯正治療の開始後3ヶ月目の写真ではさらに上下の歯の真ん中が改善しています。
術後のスマイル!!装置は歯の色に近いジルコニアブラケットで矯正治療を開始。
矯正治療終了時のスマイル。とてもとても素敵な笑顔でした!!
手術を先行した治療方法をご紹介しましたが、噛み合わせの状態や歯のでこぼこ具合によっては、先に術前矯正を行い治療を進めた方が良い場合もあります。
矯正治療のための精密検査を行い、どのような方法が良いかを検討することが重要です。お悩みの方は一度検査を行うことをお勧めします。
《当院での外科矯正治療の特徴》
受け口や顔のゆがみで悩んでいらっしゃる患者さまは一刻も早くその状態を改善したいと思っています。しかしながら手術の前に術前矯正が必要と知るとがっかりされる方も多いです。術前矯正の期間は患者さまにとっては辛い期間となります。
そこで当院ではそのような患者さまの精神的な負担を少しでも軽減したいと思い術前矯正治療を行わない外科矯正治療を行っております。ただし精密検査を行い術前矯正治療が可能と判断した場合に限って行っております。術前矯正治療を行わなければならない場合も極力短期間ですむようにしております。
このような手術先行の外科矯正治療(sugery first)の場合、矯正治療および受け口治療の手術代は自費になります。
などが治療費としてかかります。
美意識の高い韓国ではこのような方法が主流になりつつあります。外科矯正を多く手掛けてきた専門の口腔外科医、一般治療を含めインプラントを専門とした口腔外科出身の歯科医師、また韓国の矯正歯科に勤務していた技工士で連携をとりチーム医療で治療を行っております。
受け口の治療を希望され来院。
左:手術前、右:手術後3ヶ月の術後矯正治療中
術前矯正は行わずに手術を先行して受け口を改善後に矯正治療を開始しました。上顎は裏側の装置で術後矯正を行っております。術後は下顎の突出感と顔の歪みが改善しています。
受け口の治療を希望され来院。
他院で矯正治療のみによる受け口の改善を行っていました。
矯正治療のみでは大きな顔貌の改善は図れませんが、外科矯正治療を行うと下顎の突出感が改善できることを知り当院を受診されました。
左:手術前、右写真:手術後3ヶ月(術後矯正治療開始2ヶ月)
受け口である下顎の突出感と口元の雰囲気が術後は大きく改善しています。写真の掲載を快く承諾していただきありがとうございました。
MUH shield(ムーシールド)
上:治療前、下:治療後
リンガルアーチと呼ばれる装置で、反対になってしまった前歯を改善したところです。
やや受け口気味で上下の口元の突出感が気になること、前歯のでこぼこが気になることで来院されました。
矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について