大人の矯正治療

医院ブログ

恵比寿ますだ矯正歯科(恵比寿・渋谷)は、裏側から矯正治療やマウスピース矯正(インビザライン)など、見えにくい、目立ちにくい矯正に力を入れています。

前歯で物が噛み切れない…開咬(かいこう)の矯正治療②

前回では前歯が咬み合わない開咬のお話を致しました。

以前にこの開咬の噛み合わせを差し歯で治療して前歯の状態は見た目に改善したが、やはり唇が閉じないので矯正治療を希望し来院された方がいらっしゃいました。

差し歯で治療した場合、そのメリットは治療期間が短いという点でしょう。
ただこの場合、歯を削らなければならないですし、削る量によっては歯の神経を取らないと治療できない時もあります。
また開いた前歯を噛み合わせるために差し歯の長さが長くなるデメリットが出てしまう場合があります。

開咬は前歯が噛んでいないからといって前歯を治療すればよいだけでは済まないこともあります。
奥歯の噛み合わせに問題がある場合や骨格的に問題があって開咬になっている場合は、その原因となる部分の治療を行わないとお悩みの解決にならないこともあります。

からだの病気の場合と同様に検査を行い、その原因をつきとめてから治療を進めるのとまったく同じです。
原因をよく把握した上で治療法を選択するのがよろしいかと思います。

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前歯で物が噛み切れない…開咬(かいこう)の矯正治療①

前歯が噛んでいない状態を開咬(かいこう)といいます。

前歯で物が噛み切れないため脇の歯を使って噛みちぎるしかなく、とくに女性の方などは会食の時に苦労されているようです。

また咬み合うところが奥歯のみで噛む力をすべて奥歯で負担するため、年齢とともに奥歯の状態が悪くなることが多い噛み合わせでもあります

奥歯が欠ける・ヒビが入る歯が削れてしまうエナメル質が剥離する、虫歯になりやすいなど奥歯のダメージが大きく、歯を治療しても奥歯での負担は変わりないためまた悪くなることが多いようです。

原因としては
①骨格的・遺伝的な問題
②舌を出す癖(舌突出癖:ぜつとしゅつへき)、口呼吸(こうこきゅう)、
子供の頃の指しゃぶりなどの癖による問題
③顎関節部分(下顎頭)の骨吸収
などが挙げられます。

・ 症状の程度が大きい場合は、前歯を噛み合わせるために脇の歯(小臼歯など)を抜いて矯正治療を行う場合があります。

・ また骨格的な問題が著しい場合は手術を併用した外科矯正治療が適応になります。

・ 症状の状態によっては下の写真のように歯を抜かなくても前歯の噛み合わせを改善できる場合もありますのでどのような治療法が適応になるか精密検査をお勧め致します。

インプラントを含めた矯正治療

成人の場合、虫歯や歯周病で歯を失ってしまっている場合が少なくありません。

歯を失った部分は、ブリッジもしくはインプラントが選択になると思います。

ブリッジの場合は両脇の歯を削る必要が出てきます。健康な歯であればその歯の神経を取り除いて歯を削る必要もあります。
インプラントであれば、失った歯の部分の骨がしっかりしていればそこにインプラントを立てられます。すなわち両脇の健康な歯は削らないで済みます。

矯正治療を行うのであれば矯正治療後に必要な位置にインプラント治療をする場合がありますが、インプラントを立てる位置が決まっていれば矯正治療前に先にインプラント治療を行う場合もあります。

後者の場合のメリットとしては、インプラントは骨に埋め込まれていて動かないので矯正治療で他の歯を引っ張る際など効率よく動かせる手段のひとつになります。
成人の矯正治療の場合はこのインプラントを併用した治療が効果的です。

そのため一般的なインプラント以外に、矯正治療用に開発されたミニインプラント(一般的なインプラントよりもかなり小さいチタン製のネジ)を用いたインプラント矯正治療も効果的な手段のひとつです。


矢印が矯正用のミニインプラント

歯の大きさと比べてインプラントの大きさは細く小さいことが分かると思います。

このネジから歯を引っ張り、効率的な歯の移動を行います。

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受け口や顔の歪みの改善を含めた矯正治療について

成人の場合、矯正治療だけでは治療が難しく外科的な治療を含めた矯正治療が必要な場合があります。

・受け口の程度が大きい場合(下顎前突症)
・著しく前歯が咬み合ってない場合(顕著な開咬)
・笑うと顕著に歯ぐきが見えてしまう(ガミースマイル)の場合
・下あごが極端に小さく横顔のラインが良くない場合(小顎症)
・左右的な顔の歪み、噛み合わせのズレが大きい場合(顎変形症)

などが挙げられます。

この場合、噛み合わせ、顔の歪みなどの改善を外科的な手術を併用して改善します。
そのため口腔外科(こうくうげか)の先生と連携して治療を進める必要があります。

①手術前に半年~1年間くらい術前矯正を行い
②その後、入院・手術(1~2週間)
③手術後は術後矯正(半年~1年間くらい)で上下の噛み合わせをさらに緊密します。

上記①②③の順で治療を進める方法に加え、状態によっては①を行わず②③のみで治療できる場合もあります。

すなわち噛み合わせや歯のでこぼこの程度によっては先に手術を行い、その後の術後矯正で仕上げる手段もとれる場合があります。
今年の夏にこの方法で行い、来春くらいに治療が終了する患者さまもいらっしゃいます。
術後の患者さまの喜ばれる笑顔が嬉しくてたまりません。

但し噛み合わせの状態や歯のでこぼこ具合によっては、やはり先に術前矯正を行い治療を進めた方が良い場合もあります。

詳しい検査を行った上で、どこまで可能か検討されるのがよろしいかと思います。

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矯正治療前に精密検査が必要な理由 矯正治療の目的

矯正治療の相談でいらっしゃる方は様々な悩みをお持ちです。

たとえば前歯が出ている(上顎前突:じょうがくぜんとつ)と悩んでいらっしゃる場合でも次のようなパターンがあります。

・上顎の骨が大きい場合
・逆に下顎の骨が小さくて相対的に前歯が出ているように見える場合
・顎の大きさにはあまり問題はなく歯だけが前に傾いて出ている場合など
またこれらの状態が複雑に絡み合っている場合も多々あります。

逆に下顎がでている反対咬合(はんたいこうごう)の場合でもその成り立ちは様々です。

また顎の大きさだけでなく、その成長する方向も様々です。

矯正治療を始める前にはこれら顎の大きさ、角度、成長方向、歯の傾き、その他様々な項目を確認することが必要です。

噛み合わせの症状が似ていても原因が異なれば治療方法も異なります。体の病気と同じようにどこに問題があるのかを確認してから治療を行う必要があります。

そのため矯正治療を行う前には詳しい検査が必要になります。
そしてその検査の結果を読み取るために経験と知識が必要であり、矯正歯科が専門科目であることが多いはそのためです。

レントゲンや歯型、顔や口の中の写真などの資料を揃えることに加え、さらに全身の健康状態や歯並び・噛み合わせに関係するような習癖、食習慣や嗜好品などについてまでお聞きする場合があります。

それらを総合的に判断(診断)して、

①機能的な歯並び・噛み合わせ
②それだけでなく美しい口元、顔かたち
③将来的に健康な歯、歯周組織が維持
④これらが出来る限り長期に安定するような状態

を達成するためにはどのようにしたらよいかを検査資料から治療計画を考えます。

また患者さまのご希望も踏まえ、治療計画はひとつだけでなく複数になることも多々あります。

 良い結果を出すためには

・歯を抜かない(非抜歯)計画がよい場合もありますし、
・逆に抜歯した方がよい結果につながる場合もあります。
・また装置によっても異なってくる場合があります。

但しこれらは治療の手段であって、あくまで治療の目的は①~④の項目をできる限り良い状態にすることです。

そのためには私たち歯科医師・矯正歯科医の治療に加え、患者さま自身の治療内容に対するご理解、毎日のホームケアが大変重要になります。

矯正歯科医と患者さま、お子さんの場合は保護者の方も協力して頂き治療を進めることが良い結果、素敵な笑顔につながる秘訣です。

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