2011/08/29
矯正治療を行なっていない一般歯科の先生に『先生は子供と大人とどちらを多く診られるのですか』としばしば聞かれることがあります。
私としては今までお子さんも成人の方もどちらも同じように多く診てきたので、そのように聞かれることに少し違和感を覚えます。
お子さんも成人の方もどちらも診てこそ、それぞれの患者さまの診断・治療に活かせることが多くあります。
歯並びやかみ合わせが良くない場合、そのようになった理由が必ずどこかにあるはずです。
成人の方の場合、多くは子供の頃・成長期の頃に何らかの原因があったことが考えられます。
顎の大きさや歯の大きさ、それらの不釣り合いなど遺伝が原因であったかもしれないですし、虫歯が原因だったかもしれません。
もしくは乳歯を虫歯が原因で早くに喪失したことが原因かもしれません。または不適切な虫歯の治療が原因の場合もあります。
指しゃぶりや口呼吸、舌突出癖、その他習癖などいろいろ考えられます。
どのような経緯で現在、このような不正咬合になったかを知ることは治療計画を立てる時にとても重要となります。
その際、子供の矯正治療を多く診ているとその(成人の)方がどのような経緯で不正咬合になったかがよく分かります。
それを踏まえてどのような点に注意して治療をしていったらよいかなども分かり、子供を診ている経験が成人の方にも活かされるのです。
成人の方をそのような視点で診ていると逆に子供の場合は、その症状を放置してしまうと大人になった時にどのようになってしまうかもよく分かってきます。
そのため今この時期にしておかなければならない治療と、あるいは後で行っても支障のない治療の選択などができるようになります。
子供と大人どちらを専門に診ているかではなく、どちらの患者さまも多く診ていることがとても大切なことだと考えております。
渋谷区 恵比寿 広尾 矯正歯科専門
恵比寿ますだ矯正歯科
https://www.masuda-kyousei.com/
2011/08/04
矯正治療は見た目の改善の治療と思われがちですがそれだけではありません。
子供と大人で治療の手段・方法に違いはあるものの矯正治療の目的は子供でも大人でも変わることはありません。
①機能的な歯並び・噛み合わせにすること、
②それだけでなく美しい口元、顔かたちにすること、
③将来的に健康な歯、歯周組織(歯肉や歯を支える骨の健康)が維持できるようにすること、
④これらが出来る限り長期に安定するような状態にすることが目的です。
大人の方もお子様も生涯健康な歯で過ごせるように、矯正治療を通して一人でも多く素敵な笑顔をみつけるお手伝いをできればと思っております。
渋谷区 恵比寿 広尾 矯正歯科専門
恵比寿ますだ矯正歯科
https://www.masuda-kyousei.com/
2011/05/12
・前歯の隙間と脇の歯(側切歯)が引っこんでいること
・糸切り歯(犬歯)がねじれていること
が気になっていらっしゃいました。
前歯のみの部分矯正を希望されておりました。
症状が軽度だったので上のみの治療が可能でした。
ですが前歯のみの矯正治療を希望されても歯並びは上・下単独のものでなく、上下で調和して噛み合わなければなりません。
そのため上だけでなく下も一緒に治療をしなければ機能的にも、審美的にも満足いく結果が得られないことの方が多いです。
この方の場合も治療開始前に検査を行い
・最終的にどのような噛み合わせにまで治療可能かどうか
・上だけで治療が可能かどうか
・下も併せて治療を行わなければならないかなど
歯型の模型からシミュレーション模型(専門的にはセットアップ模型と言います)を作製して患者さまとよく相談した上で治療を開始しました。
隙間が閉じたこと、ねじれが治ることにとても感動してくださり、治療終了時にはとても喜んで頂いたのが何よりでした。
私も一緒に喜びながら写真を一枚。
ご本人の承諾を頂いたので写真を掲載させていただきました。
ありがとうございます。
これからは歯のクリーニングを定期的に行いながらメンテナンスをしていきましょうね。
2011/04/24
MEAWとはmultiloop edgewise arch wireの頭文字を取ったもので特殊な形状をしたワイヤーです。“ミョー”とか“ミャウ”などと呼びます。
主に切端咬合や軽度の反対咬合、開咬などの治療で用いています。
程度によりますが上記の症状を歯を抜かないで治療できるのがメリットです。親知らずだけは抜歯した方が効率的です。
上下の歯並びの間で小さなゴム(顎間ゴム)をかけることでこのワイヤーの効果が十分に発揮されます。このワイヤーを装着したのにゴムを使用しないと目的とする効果が得られないばかりか逆に症状が悪化するので注意が必要です。
使用時間は食事、歯磨きの時以外は装着することをお話しておりますが、この顎間ゴムの使用がとても重要です。
A.K.さん
前歯で噛めない開咬をMEAWを用いて矯正治療しました。
顎間ゴムを必要な時期に毎日欠かさず使用して頂いたのでMEAWを使用して6ヶ月で前歯が噛むようになりました。
S.W.さん
軽度の受け口で、右の前歯から奥にかけて反対の噛み合わせで、下の前歯の真ん中が右にズレていますが、治療後は改善しています。
MEAWを使用して歯を抜かないで治療しました。
口元の状態も初診時にくらべ改善しています。
矯正専門の雑誌に掲載された症例です。
「別冊Quintessence 矯正YEAR BOOK ’06,」
CASE STUDY 下顎の右側偏位をともなった反対咬合症例
益田 勉 クインテッセンス出版,p194~200 より抜粋
当院はとても小さなクリニックです。
ですが当院では対話やコンサルテーションを重視し、一人ひとりの患者さまとじっくり向き合いながら治療を行っております。
装置の種類によっては症状によって向き不向きがあります。
治療開始時に十分ご説明させて頂いた上で患者さまのご希望も踏まえながら装置の選択、治療方法の選択を行います。
心の触れ合いを大切に、患者さまに素敵な笑顔になってもらえる、そんな矯正歯科医院でありたいと思っております。
何よりも最終的には素敵な笑顔で治療を終えられることを目的に毎回の治療に取り組んでおります。
素敵な笑顔でご協力して頂いた方々、写真の提供に関しては皆さんのご協力にいつも感謝しております。
矯正治療を始める方のきっかけや励みになれば幸いです。
2011/04/03
デーモン(Damon)ブラケットとはアメリカのデュイット・デーモン博士によって1990年半ばに新しい概念で開発された矯正装置です。
従来のブラケットはワイヤーをしっかりブラケット装置に固定して歯を移動させていましたが、このデーモンブラケットはワイヤーがブラケット装置に対して固定されることなくスムースに滑るのが特徴です。
「ロー・フォース、ロー・フリクション」と呼ばれ、ワイヤーは装置の中を非常に摩擦が少なくスムースに動き、弱い力で歯を移動させるという装置です。
弱い力で移動させるため歯の移動時の痛みが少なく、摩擦も少ないので歯が効率よく動くのがメリットです。
アメリカではおなじみのとても良い装置なのですが、今までのデーモンブラケットは金属の部分が見える割合が多く日本ではなかなか受け入れられにくい部分もありました。
ですが昨年の秋にクリアの装置(Damon clear)に改良され、機能的な面だけでなく審美的・見た目的にも非常に良い装置になりました。今後、さらに積極的におすすめしたい装置のひとつです。