2011/02/18
≪リテーナー(保定装置)の種類について≫
左は装置の写真、右はその装置を装着した時の写真です。
目立たない装置もありますので装着時の写真(右写真)をよくご覧になってください。
ベッグタイプリテーナーとホーレーリテーナー:
歯のまわりをワイヤーで取り囲むタイプ。(取り外し式)
QCMリテーナー:
上記のタイプと同じですが、歯を取り囲む表の部分(特に前歯の部分)がワイヤーではなく透明のタイプ。目立ちにくいタイプです。(取り外し式)
アスティクス リテーナー:
QCMリテーナー同様、歯を取り囲む表の部分(特に前歯の部分)がワイヤーではなく乳白色のファイバー製でに目立ちにくいタイプ。(取り外し式)
クリアリテーナー:
透明のマウスピースタイプ。目立ちにくいですが、自分の歯同士が上下で直接咬み合わない(装置と装置の材質が咬み合う)ので、まれに積極的に噛み合わせを安定させたい場合などは適さない。上記3つのリテーナーに比べると軽い。違和感が少ないと感じる場合もあります。(取り外し式)
クリアリテーナー:
材質が透明でなくやや乳白色のもの。クリアリテーナーの材質は様々あります。(取り外し式)
右の写真は装着した状態です。
犬歯-犬歯間リテーナー(リンガル リテーナー):
糸切り歯と糸切り歯の間をを歯の裏側でワイヤーで固定するタイプ。(固定式)
上の歯並びの保定は取り外し式で、下はこの固定式で行う場合もあります。
しかし歯に固定してしまうので汚れが付きやすいため虫歯や歯肉炎、歯周炎になることもあるので注意が必要。
スプリングリテーナー:
下の前歯が軽度に後戻りしてしまった場合などの改善に用いるタイプ。(取り外し式)
最近では軽度の後戻りなら透明のマウスピースタイプで行うことが多いです。
装着して見えない部分のカラーは色々あります。
写真の提供に関しては皆さんのご協力にいつも感謝しております。
矯正治療を始める方のきっかけや励みになれば幸いです。
装置を外して素敵な笑顔にいつも感謝しております。
私も患者さまも矯正治療をして良かったと思う瞬間です。
この笑顔になっていただくこの瞬間がたまらなく矯正治療をやめることはできませんし、この瞬間のために技術を少しでも向上させたいですし、この瞬間を目指して患者さまと毎回お会いできることを楽しみにしております。
今までにも後戻りを防ぐためのリテーナー(保定装置)についてお話しましたが今回は後戻りを防ぐためのリテーナー(保定装置)の種類についてです。
2011/02/14
矯正治療が終了すると装置を外しますが、治療後の歯の位置は最初とはある意味違う位置にあり、歯は少なからず元の位置に戻ろうとします。これを後戻りと言います。
歯と歯は骨の中で非常に弾性のある線維でつながっています。そのためある特定の歯だけを動かした場合でも、その歯の隣の歯も一緒に動きます。治療後の歯の位置は最初とは違う位置にあるため引き伸ばされた線維は少なからず元の位置に戻ろうとします。
歯の移動とともに変化した骨もやはり元の位置に戻ろうとします。
そのため新しい位置で歯の位置も線維も骨も安定させる必要があります。
矯正治療後にリテーナーという装置を使用するのはこれが理由です。
このように歯とその周囲の構造によって後戻りが生じますが、それ以外にも後戻りする原因があります。それは唇を噛む癖、舌を出す癖、爪咬みなどの習癖です。歯並びが悪くなった原因のひとつに習癖が関係していて、矯正治療後にもその習癖があればまた元の歯並びに後戻りしやすくなります。
このような癖は無意識にされていることが多くご本人も気が付いていないことも少なくありません。
歯並びをみると大体関係している習癖がわかるので、問診時にお聞きしながらご自身でも「言われてみれば…」と気付かれる方も多いです。
しかしこの気が付くことが後戻りを防ぐことにとても重要です。
舌による習癖などはトレーニング方法もございます。
意識してそのような習慣・癖を改善していくことで後戻りも少なくできます。
また後戻りを防ぐリテーナーも様々な種類があり、習癖の状態によってリテーナーの種類も選択する場合もございます。
矯正治療に限らず、体が新しい状態に変化すると体は元の状態に戻ろうとすることはしばしば経験することと思います。
変化させた状態(新し状態)をkeepすることは難しいですが、維持するための方法を習慣にできるように頑張りましょう。
2011/02/10
子供と大人の大きな違いに関して、何よりも子供の場合は成長発育の途中であるということです。子供の矯正治療はこの成長を利用できるところにメリットがあります。
顎の骨の大きさを矯正力で促進したり抑制したりすることがある程度可能であったり、特に歯並びの幅を拡大する際には大人よりもはるかに多く拡大できます。
これらが可能なことで子供の場合は成長期の矯正治療で歯を抜くリスクを低くすることができたり、後の治療を楽にできることが多くあるのです。
それに対して大人、成人の場合は骨の成長を利用した矯正治療は期待できないため歯の移動のみによる矯正治療が主になります。
子供のように骨(土台)からの拡大はできないものの歯の移動により多少の拡大は可能です。またIPR(Interproximal enamel reduction)といって歯の隣り合う面を左右0.5mm以内ずつスライスカット(擦り落とし)してスペースを獲得して歯を並べる方法もあります。大人の場合もこのような方法を利用してできる限り歯を抜かない治療計画を考えます。
しかしながらこのような手段を利用しても歯並びを改善できない場合、前歯の突出や受け口を改善できない場合、歯並びだけでなく噛み合わせを良好に保てない場合は抜歯をしての矯正治療をおすすめしております。その判断のために矯正治療に先立って精密検査はとても重要になります。
目的は歯を抜かない矯正治療をすることでもなく、ただ歯を並べることでもありません。上下の噛み合わせを十分に考慮して
①機能的な歯並び・噛み合わせにすること
②それだけでなく美しい口元、顔かたちにすること
③将来的に健康な歯、歯周組織が維持できるようにすること
④これらが出来る限り長期に安定するような状態にすること
が目的です。
2011/02/06
今日はマウスピースタイプ矯正装置の勉強会に参加してきました。
今までにもマウスピースタイプの勉強会に参加してきましたが、マウスピースタイプの矯正装置でもいくつか種類があります。
前歯を主に動かすタイプの装置、前歯も奥歯も動かせるタイプの装置など種類はいくつかあります。
歯並びの状態や、噛み合わせの状態、でこぼこの程度によってタイプを使い分ける必要があります。
またマウスピース矯正装置を単独で使用するだけでなく、奥歯など見えにくい部分にはワイヤーを用いた矯正装置を併用した方が効率のよい場合があります。
歯並び・噛み合わせの状態、程度によってはマウスピース矯正装置が適応でない場合もあります。
装置の種類はワイヤー矯正を含め、装置によってメリットとデメリットがあります。
歯・歯並び・噛み合わせだけでなく顔のかたちを含め現在の状態、装置ごとの特徴、そして患者さまのご希望も含め総合的に判断していくつかの治療方法をご提示させて頂き、お話し合いの上、その中から治療方法・装置を選択して治療を進めさせて頂いております。
矯正治療においてこの部分はとても時間がかかりますが、医療の中でとても重要な部分であると考えております。ぜひご理解の程宜しくお願い致します。
2011/02/03
指しゃぶり、舌を出す癖、唇を噛む癖にしても奥歯が噛んでいても前歯が開いてきてしまうような開咬の状態になってしまうと、さらに次の問題が引き起こされます。
物を飲み込む時は普通、口を閉じて口の中を陰圧(いんあつ)という状態にしないと物を飲み込めません。しかし前歯が開いた状態(開咬)になると開いた部分を舌でふさがないと物を飲み込めないのです。前歯が開いているところに舌をまた挟むので、さらに前歯が開いていってしまうといった悪循環を引き起こしてしまうのです。
子供では成長途中のため症状が悪化しやすく、骨の成長方向にも影響が出てくる場合があります。そのまま成人になってしまうと骨がその状態で固まってしまい、治療は複雑になってきます。
成人でも唇を噛む癖、舌を出す癖がある方は診療をしていると多く見受けられます。
矯正治療をしていて最後になかなか前歯が閉じない事があるのですが、この癖が原因の場合がよくあります。そしてこのような癖があると装置を外した後にまた歯並びが悪くなっていってしまう事があります。
矯正治療をうまく進めるためにも、日常生活上の習慣や癖を意識的にコントロールしていく必要があります。また矯正治療後に後戻りをさせないためにもリテーナーをしっかり使用するとともにこの習癖のコントロールがとても大切になります。